ClinicalTrials.govとは何で、なぜ株式データなのか
ClinicalTrials.govは米国国立衛生研究所が運営する臨床試験の登録簿です。世界中の製薬会社や病院が試験を開始するときにここへ登録します。米国での販売承認を目指す試験は法律で登録が義務づけられているため、韓国の製薬会社の主要な試験も大半がここに載ります。誰でも無償で照会でき、公開APIもあります。
登録項目のひとつに完了予定日があります。この試験がいつ終わる計画なのかを試験依頼者自身が書き込んだ日付です。ここで重要なのは正確さではなく存在そのものです。製薬・バイオ株で最も大きな値動きを生む事象は試験結果の発表であり、その事象がおおよそいつ起きるのかが前もって公開されているという意味だからです。
市場データから予測するときに常に問題になるのは、何がいつ起きるか分からないという点です。臨床試験はその問題が半分だけ解けている稀な領域です。事象の中身、つまり成功か失敗かは分かりませんが、時点はおおよそ分かります。この非対称がこのパイプライン全体の出発点です。
なぜよりによって60日なのか
結果発表の当日に買うのでは遅いです。発表は価格がすでに織り込み始めた後に来ます。過去の臨床イベント77件を振り返ると、機関の純買いと発表日リターンの相関は30日基準で明確で、5%を超えて上げた銘柄のかなりの部分がその後戻しました。噂で買ってニュースで売るという言い回しが、データにそのまま現れます。
そこで観測区間を発表前の二か月に置きました。D-60で監視を始め、D-30あたりで判断し、発表の前に手仕舞う流れです。最初は一年分の試験をすべて候補に入れていて、通知が手に負えなくなりました。多く出すぎるという不満は実際の利用者である私自身から出たので、候補の窓を365日から60日に縮めました。コードのうえでは定数ひとつです。
この定数は定時バッチと手動更新の両方が共有しているので、一行直せば 二つの経路が同時に変わります。もっと広く見たければ値を大きくすればよいのですが、大きくした瞬間に低スコアの銘柄が大量に付いてきます。
候補を絞るパイプラインはどう回るのか
毎朝バッチが順番に走ります。第一に、ClinicalTrials.govから韓国の製薬・バイオ企業が試験依頼者となっている試験を取得します。第二に、完了予定日が本日基準で7日から60日の間にあるものだけを残します。7日より近いものはすでに織り込み済みとみなして外します。第三に、残った試験を会社名と銘柄コードを結ぶ対応表で銘柄に紐づけます。
第四に、銘柄ごとに直近60日分の需給データを付けます。空売り残高比率、機関純買い、外国人純買いの三つです。第五に、この時系列を前半と後半に分けて加速しているかを見ます。機関が買っているという事実よりも、後半でより多く買っているという事実が信号だからです。
第六に、価格データで五つのテクニカル戦略をそれぞれ走らせ、買い・売り・中立の判断を受け取ってその合意を出します。第七に、これらすべてを一つの点数にまとめます。最後に結果をデータベースに蓄えてTelegramへ送ります。
六つの次元の100点満点は何を測っているのか
六つの軸をそれぞれ0から100点で採点し、加重平均して一つの数字にします。重みはバックテストで補正しますが、標本が30件未満なら補正値を信用せず既定値に戻します。過剰適合を防ぐ仕掛けです。
75点を超えれば強い買い、60点超で買い、45点以上は様子見、30点以上は保有、それ未満は回避です。ここにもう一つ条件を掛けてあります。最上位である強い買いは、実測の標本が3件以上で裏づけられるときにのみ与えます。実測で検証されていない強い買いは、後の実現リターンが平均でマイナスだったからです。
市場の次元は正直に言えば今は半分死んでいます。市場対比の超過収益データをまだ集めていないため、中立値50が定数として入ります。だからこそ、自動補正がこの死んだ次元に大きな重みを与えようとするとコードが拒否します。かつてグリッドサーチが市場に0.4を割り当てたことがありますが、定数に40%を与えるのは最適化ではなく過剰適合です。
| 次元 | 重み | 何を見るか |
|---|---|---|
| 臨床 | 25% | 試験の相、完了日までの残り日数、パイプラインの活性度 |
| 需給 | 25% | 機関・外国人の純買いと空売り残高の組み合わせ |
| バックテスト | 20% | 同じ等級・同じテクニカル合意の組み合わせの過去実測 |
| テクニカル | 15% | 五つの戦略の買い・売りコンセンサス |
| 市場 | 10% | 市場対比の超過収益(未収集時は中立50で固定) |
| 適応症 | 5% | 疾患カテゴリー別のプレミアムとディスカウント |
最も強い信号と、その数字を画面から消した理由
需給の型を十通りの組み合わせとして定義してあります。最も成績がよかったのは、機関の買いが後半で加速しつつ空売り比率が7%以下という組み合わせです。過去データで平均+8.43%、プラス率94.12%が出ました。逆側の最悪は機関売りと外国人売りの重なりで、平均-6.63%、プラス率10%でした。
94%は魅力的な数字です。そしてこのシステムはその数字を通知に出しません。
理由は単純です。その94.12%は17件から出た値で、17分の16です。17件は標本というより逸話に近く、条件が少し変わるだけで大きく揺れます。そんな数値をこの銘柄の勝率であるかのように見せるなら、それは分析ではなく広告です。通知の整形コードにはこの原則がコメントとして書き込まれています。組み合わせ定数はバックテスト未検証の値なので予測のように露出しない、リターンの数値は実際に測定された値だけを出す、そしてシステムの累積成績表を下部に透明に公開する。
だから通知の下には必ず実測の成績表が付きます。8月12日時点で結果が確定した推奨は15件、平均リターンは-2.6%、プラス率は27%です。買い持ちのみで見れば期待値はまだプラスではありません。自分の成績がマイナスであることを毎日自分に報告する通知というわけです。
数字をよく見せるのは簡単です。有利な区間を選び、標本を増やさず、バックテストの定数を実績のように書けばよい。難しいのは、よく見える数字を自分の手で消して、見栄えのしない実測をその場所に置くことです。このパイプラインで最も難しかったのはスコアリングではなく、この判断でした。
8月12日の通知には何が出て、どう読むべきか
2026年8月12日未明のバッチで条件を通過した銘柄は四つでした。サムスンバイオロジクスが総合75.9点で唯一の買い等級となり、第3相かつ完了予定日まで20日という状態で、ゴールデンシグナル(買い以上・第3相・総合60点以上)の条件にも掛かりました。残る三つはKo Bio Labs 55.3点(様子見)、大元製薬50.9点(様子見)、ボリョン37.1点(保有)でした。
これを銘柄推奨として読んではいけない理由が、前節の成績表です。この点数は今この銘柄が上がるという意味ではなく、私が決めた六つの条件でこの銘柄がこれだけ出たという意味です。実測の期待値がまだマイナスであるシステムの出力だという事実と併せて読まれて初めて正確になります。
ではこの数字を何に使うのかと問われれば、候補を減らすためだと答えます。韓国の上場製薬・バイオは数百社あり、試験はそれよりずっと多い。毎朝四つに減らしてくれるだけでも、人が覗き込む対象ができます。その先の判断は依然として人がします。このシステムは注文を出しません。
結果を受け取る、あるいは自分で作るには
毎朝出てくる結果はTelegramの公開チャンネルt.me/ClinicalSignalKRでそのまま見られます。銘柄名、等級、シグナルの組み合わせ、試験の相と残り日数、総合点、テクニカル合意、そして下部の実測成績表まで、運営者が受け取るものと同じ本文が流れます。よく見えるように整えた別版はありません。
自分で作ってみたいなら、必要な材料はすべて公開データです。試験の日程はClinicalTrials.govの公開APIから取れます。空売り残高と投資家別の売買動向は韓国取引所が公開しています。終値と出来高は証券会社や公開の相場APIで足ります。有料データなしで始められるという意味です。
作る順番をひとつだけ変えるなら、これを勧めます。スコアリングを先に作らず、実測の結果を記録する場所を先に作ってください。推奨した時点の価格、手仕舞い時点の価格、実現リターンを保存する欄です。これがないとバックテストの数字を反証する手立てが永遠に生まれず、そうなると何を作っても結局は都合のよい数字を信じることになります。
