Insights·2026-10-26

AI・テック ニュースレター — 10/26(月)

ChatGPT Pro 200 の既存加入者が Codex の従来の利用枠を受けられる猶予が10月29日に終わる。複数のAIツールを一つの作業空間にまとめる Tutti、Claude・ChatGPT の結果をカカオトークで受け取る PlayMCP など、ツールをつなぐ方法は増え、古い RTX 30 シリーズのグラフィックカードのAI計算速度を引き上げる gpu-unlock も公開された。サブスクでも機材でも、いくら払って実際にどれだけ使っているかを測り直すときだ。

今日の流れ

今日のニュースは、AIをどれだけ、どう分けて使うかに集まる。月200ドルの ChatGPT Pro は同じ料金で使える Codex の量が減る。一人が複数のAIツールを同時に使うことが当たり前になり、それらを一つの画面にまとめたり、結果をスマホで受け取ったりする方法も出てきている。

サブスクではなく自分のパソコンでAIを動かしたい人に向けては、手元のグラフィックカードからさらに性能を引き出す実験的なツールが公開された。どちらでも結論は同じだ。一社の一つのプランにすべてを預けるより、自分の業務が実際にどれだけ使うかを測って分散させるほうが安全だ。

ChatGPT Pro 200、10/29以降 Codex 枠を縮小

OpenAI のヘルプによると、9月22日から9月29日午前10時(米太平洋時間)までに Pro 200 を利用していた人は、契約を続けている間、2026年10月29日まで従来の利用枠をそのまま受けられる。その後はより少ない基本利用枠に移り、料金は月200ドルのままだ。その期間より後に新規加入した Pro 200 には、最初から縮小後の利用枠が適用される。

Codex は OpenAI のコーディングツールで、言葉で指示するとAIがファイルを直し、コマンドを実行する。OpenAI は Pro を月100・200・500ドルの3段階に分け、最も速い実行モード Ultrafast は500ドルのプランだけに付けた。Pro には現在5時間単位の上限はなく、週ごとの上限がかかる場合がある。同じ名前のプランでも加入時期によって受け取れる量が変わったことが、今回の変化の核心だ。

Codex で業務自動化や社内ツールを作っているチームは、10月30日から同じ作業が週の途中で止まる可能性がある。過去数週間に週の上限の何%を使ったかを今記録しておけば、縮小後に200ドルを続けるか、500ドルに上げるか、追加クレジットを買うかを判断する根拠になる。上限に達した Plus・Pro ユーザーはクレジットを別途購入できる。

どれだけ減るかは、OpenAI のヘルプにも料金案内にも数字で示されていない。ネットで出回っている倍率は加入者が受け取ったメールを転載したもので、公式の数字とは言いにくい。10月30日以降、自分のアカウントの利用状況画面で直接確かめるのが最も確実だ。

Tutti、Claude Code・Codex・Hermes を一つの部屋に

Tutti は、複数のAIエージェントと人が同じ作業空間で文脈・ファイル・タスクをリアルタイムに共有できるツールだ。エージェントとは、目標を渡せば複数の手順を自分でこなしていくAIの働き手だと考えればよい。設計図(ソースコード)が公開されたオープンソースで、ライセンスは Apache 2.0。現在は Claude Code、Codex、Nous Research の Hermes を、それぞれ使っているサブスクのまま接続でき、OpenClaw への対応は開発中だ。

これまでは、あるAIが作った結果を別のAIに渡すには人がコピーして貼り付けるしかなかった。Tutti では「@」と「+」で他のエージェントの過去の会話・ファイル・タスクを呼び出せ、目標を書くとサブタスクに分けてエージェントごとに割り当てられる。承認待ちの作業と実行中のタスクは Control Center の一画面に集まる。macOS・Windows 用のインストーラーがあり、普段の利用にコマンド入力は要らない。

Claude と ChatGPT を行き来して使う実務担当者なら、二つのツールに同じ背景説明を繰り返し入れる手間を減らせる。ただし一つの作業を複数のAIで分担すると、誰が何を変えたのか追いにくくなる。最初は調査は Claude、整理は Codex のように役割を分け、小さな仕事から任せるのがよい。

複数の人と端末で使うクラウドの部屋 Tutti · VM はまだ先行体験(Early Access)段階で、部屋を作るには招待コードが必要だ。先行体験の間は Tutti Agent に料金はかからないが、今後は利用量に応じた課金が付く可能性があるとしており、費用体系はまだ決まっていない。

PlayMCP でAIの結果をカカオトークの自分チャットへ

カカオの PlayMCP は、AIが外部サービスを使えるようにする MCP ツールを集めたカカオのオープンプラットフォームだ。MCP はAIに差し込む共通プラグだと考えればよい。カカオは2025年11月にツールボックス機能を加え、利用者が選んだツールをカカオアカウントの認証1回で ChatGPT・Claude などの外部AIで使えるようにした。カカオ側のツールには、カカオトークの自分とのチャット、トークカレンダー、カカオマップ、ギフト、Melon などがある。

Claude では設定のカスタムコネクタに、ChatGPT では開発者モードのカスタム MCP サーバーのアドレスにツールボックスを登録する。Claude のコネクタ一覧には、カカオが作った PlayMCP コネクタが2026年1月に加わり、ログインが必要だ。カカオが挙げた例のように「今教えてくれた内容をカカオトークの自分とのチャットに送って」と頼めば、結果が自分のカカオトークに届く。2026年5月には、自分のパソコンにインストールして使うオープンソースのエージェント OpenClaw との連携も加わり、発行後10分だけ有効な使い捨ての認証値で接続する。

AIに長い作業を任せて席を外すことが多いなら、終わった結果や要約をスマホのカカオトークで受け取る経路になる。別のアプリを入れたり非公式のプログラムでカカオトークを操作したりせず、カカオが公式に開いた道を使える点が、実務では最も大きな違いだ。

ツールボックスに入れたツールは認証したAIが使えるようになるため、必要なものだけを入れるべきだ。OpenClaw との接続は PlayMCP の「プロフィール-設定-接続済みサービス」で解除する。他の人がいるグループチャットへ送る機能は、カカオの公式資料では確認できなかった。

gpu-unlock、RTX 3090 のAI演算を25〜67%向上

GitHub で公開されたオープンソースのツール gpu-unlock は、NVIDIA RTX 30 シリーズのグラフィックカードで、同じチップを使う業務用カードより低く抑えられていたAI計算命令の処理速度を2倍に解放する。作者の測定では、RTX 3090 Ti はAIでよく使われる数値形式 BF16 の計算が87.50から157.41 TFLOPS に上がった。TFLOPS は1秒間に処理する計算量を数える単位だ。報告された向上幅は RTX 3090 が25〜67%、3090 Ti が68〜80%、3060 12GB が約80%だ。

このツールは Linux のカーネルモジュール、つまりOSの奥深くに組み込まれる部品で、起動時に NVIDIA ドライバーより先に動くため、ドライバー自体は手を加えずに使える。対象チップは GA102・GA104・GA106 などで、ライセンスは GPL-2.0。数値は報告者ごとに独自の方法で測ったもので直接は比べられないと作者は説明しており、最も低い25%は電力を225Wに制限したカードの結果だ。

中古の RTX 3090 でオフィス内でAIを動かしたいチームにとっては、同じ機材でより多くを処理できる余地が生まれたことになる。ただし体感は作業によって違う。一部の報告では質問や文書を読み込む段階が14〜36%速くなったが、答えを一文字ずつ書き出す段階はほぼ変わらなかった。長い文書の要約のように読む量が多い作業で効果が大きく、短い対話型の回答は期待ほど速くならない。

メーカーが支援する機能ではなく、個人が公開した実験的なツールだ。スリープから復帰すると再解除のため約1秒余計にかかり、休止状態には対応しておらず、画面をつないだカードはリセットの間に画面が消える。このツールは Linux 専用で、RTX 30 シリーズのチップだけが対象だ。

今日やってみること

ChatGPT Pro 200 を使っているなら、今日 Codex の利用状況画面で今週の利用割合を書き留め、10月30日以降の同じ曜日の値と比べる。差が大きければ、プランを上げるのと追加クレジットを買うのとどちらが安いか、そのとき計算する。

Claude のコネクタ一覧からカカオの PlayMCP を接続し、ツールボックスにはカカオトークの自分とのチャットだけを入れる。「今日まとめた内容を自分とのチャットに送って」と頼み、実際にカカオトークが届くか試す。

Claude と ChatGPT を両方使っているなら、Tutti を入れる前に、二つのAIに繰り返し入れている背景説明を一覧に書き出してみる。その一覧が長いほど、一つの作業空間にまとめる利点が大きい。

RTX 30 シリーズのグラフィックカードでAIを動かしているなら、gpu-unlock を入れる前に今の速度を測っておく。長い文書を入れたときに最初の文字が出るまでの時間と答えが終わるまでの時間を分けて記録しておけば、効果を公平に比べられる。