Insights·2026-08-02

i-have-adhd — AIの回答から前置きを消すプラグイン

コマンド二行で済む。Claude Code なら `claude plugin marketplace add ayghri/i-have-adhd` で配布元を登録し、`claude plugin install i-have-adhd@i-have-adhd` で入れて、セッションで /i-have-adhd と打つ。そこから回答の形が変わる。前置きが消え、一行目に実行するコマンドかファイルのパスが来る。複数手順の作業は番号付きリストになり、最後の行には二分以内にできる次の一手が残る。毎セッション自動で効かせたいなら `touch ~/.claude/.i-have-adhd-always` をもう一行実行する。作者は Ayoub G.(github.com/ayghri)、MIT ライセンスのオープンソースだ。名前に ADHD とあるが診断は要らない——長い回答の中で必要な一行を見失いがちなら、誰にでも同じ効き方をする。

터미널에서 claude plugin marketplace add와 install 두 줄을 실행하고 세션에서 /i-have-adhd로 켜는 화면, 켜기 전후 답변 대비, 그리고 1·2·3 설치 단계를 담은 요약 도식
명령 두 줄, 그리고 켜기 한 번

そもそも何を入れるのか

i-have-adhd は、コーディングアシスタントの回答形式を変える agent skill(エージェントスキル)だ。スキルとは「こういうときはこう振る舞え」をマークダウン一枚(SKILL.md)に書いておくと、アシスタントがそれを自分のルールとして採用する仕組みを指す。コードを実行するわけでもサーバーを立てるわけでもない。アシスタントに手渡す指示書一枚と思えばいい。

Claude Code ではこのスキルがプラグインの形で配布される。プラグインは、スキル・フック・コマンドといった拡張の断片をひとまとめに入れるための包装単位だ。中身はスキル本体(SKILL.md)一つとセッション開始フック一つ。フックはセッション開始時に自動で走るスクリプトのことで、ここでは「常時オン」の処理にしか使われていない。

作者は Ayoub G.(github.com/ayghri)、ライセンスは MIT。本稿執筆時点のプラグインは 0.1.0 だ。筆者が作ったものではなく、使ってみて紹介している。元リポジトリのアドレスは末尾にある。

名前で誤解されやすいが、ADHD の診断が要る道具ではない。リポジトリの一行目がそう明言している。長い回答の中から必要な一行を探すのに時間を使っているなら、それが対象読者だ。

インストール —— コマンド二行

短い板を二枚つないで橋を作り、向こう側の小さな箱へ渡している絵

ターミナルで下の二行を順に実行する。一行目が配布元(marketplace)の登録、二行目が実際のインストールだ。`i-have-adhd@i-have-adhd` と名前が二度出るのは誤記ではなく `<プラグイン名>@<配布元名>` という形式で、このリポジトリはたまたま両方が同じ名前になっている。

リポジトリを自分で clone する必要はない。Claude Code が取得し、以降の更新も引き受ける。

インストール後に Claude Code を一度再起動する。プラグイン一覧は起動時に一度だけ読まれるので、再起動前は `/i-have-adhd` が補完に出てこない。

入ったかどうかは `claude plugin list` で確認する。更新は `claude plugin marketplace update i-have-adhd`、削除は `claude plugin uninstall i-have-adhd` と `claude plugin marketplace remove i-have-adhd` を両方実行する。消さずに一時的に切るだけなら `claude plugin disable i-have-adhd` を使う。

インストール(Claude Code)
claude plugin marketplace add ayghri/i-have-adhd
claude plugin install i-have-adhd@i-have-adhd
確認・更新・削除
claude plugin list
claude plugin marketplace update i-have-adhd
claude plugin uninstall i-have-adhd
claude plugin marketplace remove i-have-adhd

オンにする方法は二つ

中間のない上下二つの位置しかない大きなレバーを手が握り、上に消えた灯りがある絵

ここが一番つまずく点だ。入れただけでは回答は変わらない。SKILL.md の冒頭に `disable-model-invocation: true` が入っているため、Claude Code ではモデルが自分でこのスキルを見つけて適用することができない。人がオンにする。中間はない——オンにしていないなら、オフだ。

一つ目はその都度オンにする方法。セッションで `/i-have-adhd` と打てば、そのセッションの間ルールが効く。止めたければチャットに「stop adhd mode」または「normal mode」と書く。

二つ目は常時オンにする方法。`~/.claude/` の中に `.i-have-adhd-always` という空ファイルを一つ作ればいい。ファイルを作るコマンドが `touch` だ。このファイルがある間、プラグインのフックがセッション開始のたびにルール全文を読み込む。戻したければそのファイルを消す。

設定ディレクトリを移して使っている場合(`CLAUDE_CONFIG_DIR` を設定している場合)、フックはそのパスに従う。フックはこのファイルがあるときしか動かないので、入れただけで既存の挙動が変わることはない。

常時オンの状態でも、そのセッションだけ切りたければ「stop adhd mode」は依然として効く。

常時オン / 元に戻す
touch ~/.claude/.i-have-adhd-always   # 毎セッション自動で適用
rm ~/.claude/.i-have-adhd-always      # その都度オンにする方式へ

出力はどう変わるか

リポジトリが同じ質問への前後の回答を並べて見せている。認証コードを直してほしいという依頼に対し、オン前の回答は「いい質問ですね。少し考えてみましょう」で始まり、認証フローの構成要素をひと通りなぞり、進め方を述べ、ついでに依存関係も古いと付け足し、「お役に立てば幸いです」で終わる。情報は揃っているが、今どれを押すのかは段落のどこかに埋もれている。

オン後の回答は `npm install jsonwebtoken@latest` を実行して `src/auth.ts:42` を開け、という一文で始まる。続いて三項目の番号付きリスト、最後の行は「テストが落ちたら最初の失敗行を貼ってください」だ。中身は同じでも、読み手が次にやることが一行目と最終行にある。

ルールは十個で、全文はリポジトリの SKILL.md にある。それぞれが狙っているのは好みの問題ではなく、作業記憶・着手のコスト・時間感覚の平板さといった具体的な地点だ。

#ルール何を防ぐか
1次の行動を一行目に実行すべきコマンドが背景説明に押し下げられること
2複数手順は番号で一文に「そのあと」が二回入って順序が潰れること
3二分でできる次の一手で終える「わかった」と「やった」の間で作業が止まること
4脇道は後回しいまの問題が片づく前に別の問題が割り込むこと
5毎ターン進捗を言い直す「五手順のうち三つ目」を頭に持たせること
6時間の見積もりは具体単位で「少しかかる」と「半日」が同じに読めること
7できたことを見えるように成果が要約の中に埋もれること
8エラーは淡々と「おっと」で始まり原因と対処が後ろへ回ること
9リストは五つまで順位のない十行の羅列
10前置き・要約・締めをなくす「これから〜します」と「他に何かあればお知らせください」

ルールが自ら退く場面

紙束をきつく締めていたベルトが緩み、紙が扇状に開いていく絵

短くしろというルールが答えそのものを消してしまっては困る。だからスキルには、ルールを引っ込める条件も一緒に書いてある。六つだ。

説明してほしい、最初から順に見せてほしいという依頼では長さの制限が外れ、最後まで説明する。前置きと締めは相変わらずないが、後で読み返せるよう小見出しを付ける。

戻しにくいコマンド(`rm -rf`、強制プッシュ、スキーマ変更、テーブル削除など)の前では、短さより確認が先だ。

同じ失敗が三ターン続いたらコードを直すのをやめ、間違っているかもしれない前提に名前を付けて言い、診断のための質問を一つ投げる。

依頼そのものが曖昧なら、短い確認の質問一つのほうが推測して書き直すより良い。選択肢を問われれば一本道ではなく二〜四案を、推薦を先頭にして並べる。そしてルールがエージェントの実行環境の規則と衝突する場合は環境側が勝つ。

Claude Code でないなら

同じ SKILL.md を複数のツールがそのまま読む。変換は要らない。

Codex は配布元の登録に `--ref main` を付け、インストールは `plugin add` だ。呼び出しは `$i-have-adhd`。Claude Code と違い Codex は暗黙の呼び出しを許すので、合いそうな作業では自分からオンになることがある。

エージェントスキルを読むツール——Cursor・GitHub Copilot・OpenCode・Amp——は `npx skills add ayghri/i-have-adhd` で入れる。`-a <ツール名>` で特定のツールだけ、`-g` で全プロジェクトに効かせる。

Zed はエージェントパネルのスキル管理から「Create skill from URL」を選び、SKILL.md のアドレスを貼る。Gemini CLI には配布元の仕組みがないので二通りで、コマンドファイル一つを `~/.gemini/commands/` に落とせば必要なときだけオン、拡張として入れれば最初のメッセージから常時適用になる。

設定ファイルにルールを直接貼る道もある。INSTALL.md がツールごとに貼り付け用の十行の要約ブロックを用意している——Codex は `~/.codex/AGENTS.md`、Copilot は `.github/copilot-instructions.md`、Cursor はユーザールール(User Rules)だ。

他のツール
# Codex
codex plugin marketplace add ayghri/i-have-adhd --ref main
codex plugin add i-have-adhd@i-have-adhd

# Cursor・Copilot・OpenCode など(agent skills 標準)
npx skills add ayghri/i-have-adhd -a cursor -y
npx skills add ayghri/i-have-adhd -g

効かないときに見る場所

症状は四つで、原因はおおむね決まっている。

`/i-have-adhd` が補完に出ない:エージェントを再起動する。プラグイン一覧は起動時に一度読まれる。

常時オンのファイルを作ったのに何も起きない:プラグインを更新して再起動する。フックも起動時に読まれ、この機能は `hooks/hooks.json` を同梱したバージョンから動く。

`claude plugin marketplace add` が失敗する:`owner/repo` の形式か確認する。ローカルパスで指定する場合はリポジトリのルートを指す必要があり、`.claude-plugin/` の下を指してはいけない。

入れたのに回答がまだ前置きから始まる:新しいセッションを開く。それでもぶれるなら SKILL.md の文言を自分で締める。ルールを変えたければリポジトリを fork して SKILL.md を直し、先に上流の分を削除してから(fork と上流は名前を共有する)自分のリポジトリを配布元として登録する。

なおこのルール群は、J. Russell Ramsay と Anthony L. Rostain の『The Adult ADHD Tool Kit』を緩やかに参照して作られている。人が一日をどう組み立てるかではなく、言語モデルがどう答えるべきかに置き換えたものだ。

原典(MIT): github.com/ayghri/i-have-adhd