コラム
[グァンスの視点] 損切りの基準は過去ではなく、今あらためて設ける
指数の下落速度が速いと、あらかじめ決めた損切りラインを守るのは難しい。損失がすでに40~50%に達したという事実だけで売却を決めるのではなく、現在の価格で新たに投資すると仮定し、許容できる損失と行動基準をあらためて設けるべきだ。
例として、KOSPIが5,400~5,500台にあるとき、5,300を下回れば保有株の30%を減らすといった基準が示された。基準に達しなければ保有を続け、さらに下落した場合にはあらかじめ決めた行動を実行する方法だ。基準と計画があれば、相場を見続けることで生じる不安も軽減できるとの主張だ。
株価が上昇したときに性急に売るのではなく、下落時にのみ行動基準を適用すべきだという点も強調された。例えば、指数が5,000で売却すると決めていたものの、5,700まで反発した場合には、損切りラインを5,300に引き上げる方法で基準を調整できる。上昇そのものを売りのシグナルとすれば、利益を十分に伸ばせない失敗を繰り返す可能性があるとの説明だ。
投資家の負債額や株式比率に応じて、対応シナリオは変える必要がある。信用取引や借入を多く利用しているなら、指数が特定の水準に達する前に先に比率を下げることができる。借金はないものの株式比率が高い投資家は、5,300・5,100・5,000などの水準ごとに分けて売却できる。保有比率の負担が小さく、現金が十分な投資家は、一部を保有し続けたり、より低い水準で買い直したりする計画も立てられる。
保有銘柄の下落要因も区別すべきだ。半導体株と電力株のように、同じ市場下落にさらされても、業種ごとの下落背景や下落幅は異なる可能性がある。損失率だけを比べるのではなく、各企業や産業の下落要因を確認したうえで、自身の資金状況に合ったシナリオを用意する必要がある。
ボラティリティと政治的不確実性が低下してこそ、割安感が買いの機会に
ゴールドマン・サックスは韓国株式市場の目標値を引き下げるにあたり、高いボラティリティと利益成長の鈍化を根拠に挙げた。KOSPIの60日実現ボラティリティは通常10~30%程度だが、急落局面では80%を超えることがあり、レバレッジETFの取引構造が終値の変動を拡大させる可能性があるとの指摘も出た。イ・グァンスは、株価が割安というだけでは外国人投資家がすぐに買いに動けない理由は、不確実性にあると分析した。
1日の値動きが大きくなると、投資家は翌日の株価を見通しにくくなる。また、半導体利益が急速に増える状況も、その持続可能性への疑問を生む。サムスン電子とSKハイニックスが高い利益を複数四半期にわたって維持すれば、業績の持続性を示せるが、市場の不確実性を低下させるには時間が必要との見方だ。
米中間選挙の結果によって、議会と行政府のけん制関係が変わる可能性があるとの分析も出た。下院は民主党が占める可能性が高いとの見通しが紹介され、上院では選挙区と共和党支持層の投票参加が変数として挙げられた。民主党が上下両院を占めれば、トランプ政権の関税・減税・財政支出政策をけん制でき、議会が分割されれば政策停滞が続くとのシナリオが示された。
選挙後には政治的不確実性が低下し、株式市場にプラスに働く可能性があるという過去の分析も取り上げられた。米国株は中間選挙後に上昇した事例が多く、議会が分割された場合には上昇率がさらに高かったとの統計が紹介された。政局が停滞すれば政治要因の影響が弱まり、市場の関心が企業業績などの経済指標に戻る可能性があるとの解釈だ。
ブラジルではルラ大統領の当選発表後、アジアで取引されるブラジル投資資金が約10%流出したとの説明があった。左派政権による財政拡大やポピュリズムを懸念する資金が野党の勝利に賭けていた可能性がある一方、ルラ政権時代の経済が必ずしも悪かったわけではないとの反論も出た。韓国については、選挙前から当時の李在明候補が株式市場と経済の活性化に取り組む姿勢を明確に示し、市場の期待を集めていた点で、ブラジルと単純に比較するのは難しいとの見方が示された。
[グァンスの視点] 株主還元は選択ではなく企業の責任
企業が株主の資金を投じて利益を上げたのであれば、株主還元は経営陣の選択肢にとどまらないとの主張が示された。配当をすれば投資余力が減るという理由で還元拡大を先送りするのではなく、株主への責任を果たしたうえで成長投資を議論すべきとの立場だ。
キオクシアへの投資持分の売却などで企業が得た利益も、株主の資金とリスク負担を基に生み出されたものである以上、株主に還元されるべきだと強調した。会社が配当・自社株買い・消却計画を長期的に示せば、現在の利益が一時的な好況によるものではなく、持続可能な収益力を反映しているというシグナルを市場に送れるとの論旨だ。
政府の徴税でもAIの活用を拡大すべきだとの意見が付け加えられた。公務員が脱税者を一人ずつ探し回る方法より、AIで関連情報を分析すれば行政効率を高められるとの主張だ。AIが消費者向けサービスだけでなく、公共行政や企業運営の生産性を大きく変え得る点も指摘された。